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November 15, 2005

大学発ベンチャー

「虚妄の大学発ベンチャー~民営化時代のタックスイーター」

今週号の日経ビジネスのタイトルだ。
「産学官の大学発ベンチャー」
そんな響きを聞いたコトある人も多いだろう。

懐かしなぁ。
京大院生の頃はベンチャーラボに通ってMOT講座に出て、自分らの知識技術からビジネスを立ち上げて社会に技術を広めていくベンチャーを語り合ったりもしたっけか。
今や経営に興味のある理系院生はいっぱいいる。
あの場所でどんだけ魅力的な奴らに出会えたか。

さらに自分の研究は防災関連で、企業や地元の人と大学という公的機関が協力して社会的に何が生み出せるかを根底に置いて活動してた。

そんな訳で他人事とも思えんタイトルにつられて中を読んでみると、なるほど。
そんな事情もあったのかと驚く。

要するに、お上のベンチャー1,000社構想の下に6,000億円を越える予算がつき、ここ3年で500を越える大学発ベンチャーが立ち上がり、大した審査も評価も行わず補助金や予算をバラまいてる実態がある、との内容。

無論この記事は傾倒して書かれてる。
公の資金を注ぎ込まなければ得られない社会的な利益とその恩恵については詳しく触れておらず、国費でベンチャーと社長が増殖していく点について強調してある。

けど、それを踏まえて読んでてもナニか引っ掛かる点がある。

それは、「税金を使った事業で私腹を肥やしている個人が存在する」点だ。

特集中ほどのページには、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)のフェローとして2社を起業し上場益でジャガーの社用車と1億4,000万円の家を買う話を自慢げにしている27歳社長の絵とコメントが載っている。

馬鹿ぢゃねーのか?
恥ずかしいと思わねんだろか。
俺には彼がコバンザメか哀れな蛙にしか見えん。

国からの補助金で起業と経営を賄って、商売の核となる技術はどこかの大学の教授助教授が開発してきたものだ。おまけに販売補助金まで出してくれと頼んだとか。
これを他人のフンドシでナンとやらと言わずに何と言う。

大学の専門技術や基礎技術を世に広めて社会に貢献してその対価を得ることに何ら反対は無い。
むしろどんどん進めるべきだろう。日本は大学の技術が一人歩きし過ぎてる感がある。

けど、それは核となる技術を開発したエンジニアが対価を得る場合だ。
青色ダイオードの件じゃないけど、技術立国を目指したいなら技術者が厚遇されてしかるべきだろう。
お国の機嫌を取れる申請書の書き方ばっか上手いどこぞの雇われ社長が何を勘違いしてんのか。
そうじゃないにしたって、リクルートみたいに自らリスクを取ってTLOの役割を果たしていくべきだろう。
商社だって新技術や特許ビジネスに収益源を見出そうとリスクマネーを注ぎ込んでいる。

勿論彼がベンチャーを成功させたのは事実だ。然るべき評価は受けるべきだろうが、間違えて欲しくないのは、守られた身分でありながら生き残りを掛けた猛者が戦う資本市場から利益を掠め取るってのはオカド違いも甚だしい点だ。

この点が、大学発ベンチャーが未成熟たる原因のひとつだと思う。
公的資金を用いた企業が既存の市場に参入していく際に儲けられるべきある種特別な仕掛けが足りてない。

元々国が公の資金を提供するってのは、社会の為になるけど収益性が望めない技術の普及を目指してのものなハズだ。
だから社会貢献を前提とした守られた体制から生み出された利益は、基本的に社会に還元されるべきなんだと思う。
私腹を肥やす為に税金を拠出してイイはずがない。
予め取り分上限を設定するとか、還元率を決めておくとか、簡単でいいから何かしらの制限を設けておくべきだ。
雑誌に予算バラまきなどと揶揄され取り沙汰されるような、補助金獲得を狙った起業そのものが目的な馬鹿げた現状がこれ以上広がらないように。

俺が商社に入ったのだって、PFIとか、何かしら社会と企業がそれぞれの利益を最大化させる仕組みを作ってみたかったからだ。
そんな馬鹿げた補助金獲得作戦に参加する意義なんて何処にある?

ただ一つ断っておきたいのは、俺の意見は”土木寄り”ってこと。
公共の利益を最優先に考えてしまう。
MOTにいた頃も、技術から得られる利益は独占すべきって情報科の院生と、社会に役立てる為に出来るだけ普及させてシェアから利益を得るべきだ、って俺の意見とは常に平行線だった。まぁそんな議論が一番楽しかったんだけどな。な、O田。

だから、そんな「NEDOの申し子」を賞賛したり俺の意見をただヤッカミだとしか見ないヤツもいるだろけど。

ただ、これだけは認識してほしい。

「何のために国の金が使われるのか」

存在する制度を利用してるだけ、とかチンケな事言ってないで、そこからどんな社会的利益の実現を目指していくのかを、語ってほしかったなぁ。

  

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Comments

なかなか,いいこと言うね.
熱い男だ.

Posted by: takao | November 15, 2005 at 07:03 PM

まったくね。僕はover35で転職を考えているうらぶれたバイオ系ポスドクなんだけど、大学発ベンチャーの求人なんかみると頭くることが多いよ。大手コンサルに数年つとめた*だけ*の30そこそこの「取締役」の給料が、大学発ベンチャーの生命線であるはずの「主任研究員」の倍以上、なんて、ざらにある話で。結局は会計屋がもうけるんだよね。   
まあ、そもそもベンチャー企業が成り立つほどの科学的根拠はとてもなかろう、と思うような技術をウリにしてる企業の方が多いくらいで、そういうところは創業した教授連中にしてからが誇大妄想を語って株式上場してぬれ手に粟を夢見てるんじゃねーか、って気がするけどね。   
国や官僚の感覚としては「公共事業」の一環なんだろうな。今時道路やダムを造るにはいろいろ難しいことがあるけど、「大学発ベンチャーを支援します」って言ったら一般人たちはどうせ理解できないから反対できないだろう、みたいなね。だから、金を出したあとの検証なんかに興味ないんでしょう。それにそもそも、まるっきり文系頭の官僚たちには、ベンチャーのコアになる科学技術が妥当かどうかなんて判断できないんだろうし。   

Posted by: wedge | November 17, 2005 at 11:22 AM

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